ヤチシャジン 平成30年7月14日撮影 |
広島市植物公園では、絶滅危惧植物の保全を積極的に進めています。主にはバックヤードで栽培しているのですが、増殖した株の一部をロックガーデンや里山の野草園で展示しています。他の植物園でもなかなか見ることのできない、ヤチシャジンとハナナズナが花盛りですので、ご紹介します。
ヤチシャジンは、湿地に生育する多年草で、国内では中国地方の一部(広島・岡山)と東海地方の一部(愛知・岐阜)に隔離分布しています。環境省のレッドリストでは、最も絶滅の恐れが高い「絶滅危惧ⅠA類」に指定されており、広島県野生生物の種の保護に関する条例の指定種でもあります(県内の野生株を許可なく採取することは禁じられています)。広島市植物公園では、広島県世羅郡世羅町(1995年当時は甲山町)から依頼を受け、1995~1996年はヤチシャジンの苗の増殖、2008年から現在に至るまでは、ヤチシャジンの保全のための調査研究を行っています。その成果として、増殖できた株の一部を里山の野草園に植栽し、近くで観察できるようにしています。今月いっぱいが見頃ですので、お早めにご覧ください。
うらら池の野草園で満開のヤチシャジン 平成30年7月14日撮影 |
もう一つのおすすめは、ハナナズナ。かつては広島県・岡山県に分布があったのですが、現在では絶滅してしまったと考えられています。当園の株は、長崎県の対馬に由来する株が起源です(こちらも許可なく野生株を採集することは禁じられています)。ロックガーデンの中段あたりにたくさん咲いています。草丈が小さいので、目を凝らして探してみて下さい。
ハナナズナ(ロックガーデン) 平成30年7月14日撮影 |