2018/08/05

植物よもやま話「レンゲショウマ」

 植物よもやま話は、見どころ案内や花ごよみでは紹介しきれなかった園内の植物について、広報担当の職員が紹介するコラムです。不定期で更新する予定です。

 2回目の更新では、里山の野草園で見頃の「レンゲショウマ」を紹介します。

レンゲショウマ 平成30年8月4日撮影



  • 和名:レンゲショウマ
  • 学名:Anemonopsis macrophylla Siebold et Zucc.
  • 原産地:東北地方南部~近畿地方、四国(愛媛県)

  •  レンゲショウマは主として太平洋側(本州)の落葉広葉樹林内に自生する多年草。日本固有の植物で1属1種です。7月下旬から8月上旬にかけて、薄紫色の花を咲かせます。がくと花弁(花びら)は同じように見えますが、がくは水平に広がるのに対して、花弁は筒状になっています。環境省の絶滅危惧種には指定されていませんが、各県で絶滅危惧種に指定されています。

    ハスの花

     レンゲショウマのレンゲ(蓮華)とは、蓮(ハス)の花のこと。花の形が蓮の花をひっくり返したように見えることから、この名前がついています。ちなみに、ラーメンに使うレンゲ(蓮の花びらに見立てたもの)やレンゲソウ(蓮華草)も由来は同じです。

    レンゲ(散蓮華)

     レンゲショウマのショウマ(升麻)はサラシナショウマ[Cimicifuga simplex (DC.) Wormsk. ex Turcz.]が語源で、葉の形が似ていることから名前が付きました。サラシナショウマは同じキンポウゲ科ですが、別属です。さらに、6月に園長のおすすめで紹介したキレンゲショウマはアジサイのなかまなので、サラシナショウマ(の葉)に似たレンゲショウマ、レンゲショウマ(の花姿)に似たキレンゲショウマという三段論法になっています。従って、サラシナショウマとキレンゲショウマでは、名前は似ているものの大分遠い関係になります。

    サラシナショウマ Cimicifuga simplex (DC.) Wormsk. ex Turcz.
    レンゲショウマ 平成30年8月4日撮影
    キレンゲショウマ 平成15年6月25日撮影

     このレンゲショウマですが、薬用や食用にされることはありません。蝋細工のような可憐な花がシャンデリアのようにぶら下がる花姿は人気があり、自生地では夏の風物詩として親しまれています(青梅御岳山のレンゲショウマまつりが有名)。植物公園での見頃はあと1週間程度(8月の前半まで)となりそうです。