2018/12/27

大温室では真冬でも賑やか(12/27)

 いよいよ本格的に冬になってきました。屋外では花の少ない時期ですが、温度を保てる大温室内では、冬から早春にかけて多くの花が咲きます。

カエンボク 2018年12月27日撮影

 今年3月の大温室リニューアルオープンに合わせて、新しく植え付けたカエンボクですが、ついに12月に入って大きくて鮮やかな黄色の花を咲かせ始めました。

カエンボクの花(右)とつぼみ(左)

 つぼみから咲くときの様子が、炎のように見えるので、火炎木(カエンボク)と呼ぶそうです。通常、オレンジ~赤っぽい色の花が咲きますが、当園の株は珍しい黄花です。カエンボクはアフリカ原産の花木で、霜の降りない熱帯~亜熱帯の各地で街路樹として植えられていて、ジャカランダ、ホウオウボクと並んで世界三大花木のひとつに数えられています。

カエンボクのつぼみ

カリアンドラ 赤花 2018年12月27日撮影
カリアンドラ 白花 2018年12月27日撮影

 カリアンドラは、南アメリカ原産のマメ科の熱帯花木で、日本のネムノキに近い種類です。当園には赤花と白花があり、紅白合戦のようににぎやかに咲き競っています。

オオバナソシンカ 2018年12月27日撮影

 オオバナソシンカも、大きな花が、株全体に咲いています。別名ホンコン・オーキッド・ツリーともいいます。

オーストラリアバオバブ 落葉

 バオバブは、乾期に葉を落とす落葉樹です。葉が黄色くなってきたので、そろそろ休眠期と思われます。

年末年始のお知らせ



植物公園の今年の開園日は本日12月27日(木)までです。
12月28日(金)~1月4日(金)までは休園日です。
新年は、1月5日(土)から開園いたします。
来年も植物公園をよろしくお願いします。

2018/12/22

園長のおすすめ(プテロスティリス・テヌイコーダ)

プテロスティリス・テヌイコーダ Pterostylis tenuicauda Kraenzl.

 オーストラリアに分布する小型の野生ラン。葉は地表に伏し、高さ10~20㎝の花茎の先に1花をつけます。花は長さ約3cm、角の生えた頭巾のような特異な形をしています。
 12月下旬までが見頃です。

(園内位置:フクシア温室)

2018/12/20

熱帯スイレン温室の現況(12/20)

改修後の熱帯スイレン温室入り口 平成30年12月20日撮影

 今年の8月から行っていた熱帯スイレン温室の改修が12月19日をもって完了しました。これから春に向けて、オオオニバス、熱帯スイレンや食虫植物の植え付けを随時行っていきます。綺麗になった温室の様子をぜひご覧ください。

ガラスを綺麗に直した熱帯スイレン温室の外観 平成30年12月20日撮影

 昨年に改修した大温室と同じく、ガラスがきれいになりました。熱帯スイレン温室の完成は昭和61年2月なので、およそ30年ぶりのリニューアルとなりました。

オオオニバスのプール 平成30年12月20日撮影

 改修のためにお休みしていた夏休みの人気イベント「オオオニバス試乗体験会」ですが、来年度は復活する予定です(オオオニバスが順調に生育すれば…)。写真の真ん中に見える3つの大きな木枠は、もともとオオオニバスが植わっていた場所です。この植枡は特注品で、20年以上経った今でも問題なく使えています。

熱帯スイレンのプール 平成30年12月20日撮影

 熱帯スイレン、食虫植物コーナーも随時植栽を行っていきます。温室全体が明るく開放的になったので、より良い生育が期待できそうです。2月末の「世界の蘭と熱帯の花フェスタ」の時までには、元通りの雰囲気の熱帯スイレン温室に戻っていることでしょう。

2018/12/17

園長のおすすめ(ファレノプシス・ベリーナ)

ファレノプシス・ベリーナ Phalaenopsis bellina (Rchb.f.) Christenson

 ボルネオ原産の小型野生ラン。葉長10~15cm、樹上や岩上に着生し、径4~5cmのカラフルな花を咲かせます。

(園内位置:フクシア温室)

2018/12/16

腐葉土作り

 植物公園では、毎年恒例の腐葉土作りを行いました。

袋に入れた山積みの落ち葉

 園内の落ち葉をあらかじめ回収して袋に入れています。その数、約300袋。

落ち葉を腐葉土作りの現場に運び込む

 いよいよ作業開始です。まず、数十袋を桝に運び込み、水をかけながら踏んでいきます。

桝に落ち葉を積み上げる

落ち葉に水をかけながら踏んでいく

 隣のコンパネで囲った桝に、ホイールローダーで濡らした落ち葉を移動させます。

ホイールローダーで濡らした落ち葉を移動

 発酵を促進させるため、油かすや米ぬかなどを落ち葉の上にかけます。

油かすなどを投入

コンパネで完全に囲った桝(右)と、次の回に積み上げる落ち葉(左)

 コンパネで囲った右側の桝の中に、人が入って落ち葉を踏んでいるのがご覧いただけますでしょうか?左の桝では、次に積み上げる落ち葉を濡らしながら踏んでいます。これを何回かに分けて約300袋分に達するまで繰り返し積み上げていきます。

桝の中で油かすなどを投入している様子

 この後、数か月毎に落ち葉の切り返しを行いながら、落ち葉を腐熟させていきます。

昨年(2017年)に作った腐葉土

 およそ1年後には、写真のような立派な腐葉土が出来上がります。植物公園では、このように園内で発生する落ち葉を、資源として有効活用しています。

2018/12/15

植物写真コンテスト 審査結果(速報)

 平成30年12月12日13時より、第42回広島市植物公園植物写真コンテストの審査会を開催しました。厳正なる審査の結果、62名の受賞者を決定しましたのでお知らせします。

2018/12/12

園長のおすすめ(セロジネ・ムーレアナ)

セロジネ・ムーレアナ Coelogyne mooreana Rolfe

 ベトナム原産の野生ラン。渋い色の地味な花が多いセロジネ属のなかにあって、大輪の純白花を多数咲かせる美しいランです。

(園内位置:フクシア温室)

2018/12/10

合格祈願「落ちない葉っぱ」販売

「カード」にして販売

必勝!「落ちない葉っぱ ヤマコウバシ」



 いよいよ受験シーズン到来。受験生の皆さんは、目標に向かって追い込みに入っておられることと思います。
植物公園では、頑張っている皆さんにエールを送る意味で、「枯れても落ちない葉っぱ」(ヤマコウバシ)を合格祈願に販売します。
 受験生のみなさまの合格をお祈り申し上げます。
  1. 販売価格:100円
  2. 販売方法
    1. 園内の売店で12月1日(土)から販売
    2. 葉がなくなり次第、販売を終了します
    3. 郵送も可能
  3. 販売の経緯
    • 平成19年に入園者へのサービスとして先着100名に配布
    • 販売の希望が多かったため、平成20年12月1日より販売開始

お問い合わせ

広島市植物公園 落ちない葉っぱ ヤマコウバシ係 
電話(082)922-3600

ヤマコウバシとは?


ヤマコウバシの木

  • クスノキ科クロモジ属の低木
  • 葉が枯れても、冬の間枝についたままで落ちません
  • 枯れ葉は、春に花が咲き新芽が出た後に入れ替わります。
  • 「山香ばし」の名は、枝や葉によい香りがあることに由来します。

報道資料(プレスリリース)

取材報道






2018/12/09

植物よもやま話「カリン」

 植物よもやま話は、見どころ案内や花ごよみでは紹介しきれなかった園内の植物について、広報担当の職員が紹介するコラムです。不定期で更新する予定です。

 3回目の更新では、芝生広場の「カリン」を紹介します。

完熟して落下したカリンの果実 平成30年12月8日撮影

  • 和名:カリン
  • 別名:安蘭樹(あんらんじゅ)・カラナシ
  • 学名:Pseudocydonia sinensis (Thouin) C.K.Schneid.
  • 原産地:中国

  •  カリンは、中国原産のバラ科の落葉高木です。以前はボケ属(Chaenomeles)に含まれるとする分類が一般的でしたが、近年の分子系統解析の結果、1属1種のカリン属(Pseudocydonia)として整理されています。

    落葉したカリンと完熟した果実 平成30年12月8日撮影

     一見おいしそうな果実に見えますが、完熟しても硬くて生食できません。そのため、商業的な栽培はされず、庭園や寺社(安蘭樹という別名でよく表記されます)などに植えられています。果実は秋(11月ごろ)に完熟するのですが、収穫せずに放っておくと、落葉した木に「野球ボールほど」に実った様子がよく目立ちます。鳥も食べないようで、植物園では風で落ちた果実が子供のおもちゃになっています。

    カリンの花 平成30年4月10日撮影

     4月の半ばごろに咲く花は可憐で、十分に鑑賞に堪えます。剪定をしないと大きな木になりますが、適当に剪定をすれば、家庭の狭い庭でも十分に楽しめます。生食はできない実ですが、果実酒や砂糖漬けにすると家庭の常備薬になります。咳止めや疲労回復などの効能があると言われています。家庭果樹としてもう少し見直されてもよいように思います。

    カリン酒(漬けたばかりのもの)


    カリンのよもやま話


     さて、このカリンですが、よもやま話がいろいろあるので第3回の題材に選びました。実はカリンと呼ばれているものの中には、偽物がたくさん紛れています。

    1.木材としての「カリン」

    家具、細工物や三味線の胴に用いられる高級木材に「花櫚(カリン)」があります。このカリンはマメ科の植物で紫檀(シタン、ローズウッド)のなかまです。ややこしいことに、カリン(バラ科)の材木も光沢のある赤褐色で美しいことから、床柱などの家の建材に用いられます。この両者は似ている材ということで混同して同じ名前が与えられたようです。

    2.薬用植物としての「カリン」

    カリンの生薬名を「木瓜(もくか)[日本薬局方外生薬規格による]」としていることから、ボケ(木瓜)と混同することがあります。一般にはボケのことを「木瓜」と呼ぶので、薬の原料がカリンなのかボケなのか字面だけで判断すると間違えの元。もっとも、どちらも薬効は同じなので、大きな問題はないのかもしれません。また、台湾では、「木瓜」はパパイアのこと。ところ変われば品変わるのでご注意下さい。

    3.「カリン」と「マルメロ」

    諏訪地方(長野県)に旅行に行くと、カリンの砂糖漬けがお土産として売られています。このカリンは実はマルメロ。マルメロは中央アジア原産で、日本には17世紀ごろにポルトガルから伝来したとされています。見た目はカリンとよく似ていますが、マルメロの果実には白い毛がびっしりつき、洋ナシ形であることがわかりやすい区別点です。西洋カリンと呼ばれることもありますが、これはメドラ―と呼ばれる別属の植物の呼称です。

     実のところ、マルメロは欧州ではカリンよりもよく知られた植物です。起源1世紀に古代ローマの博物学者プリニウスによって書かれた「プリニウス博物誌」では生食できる栽培種としてマルメロが取り上げられており、もっと古くから流通していたようです。また、マルメロの砂糖漬けはマーマレードの語源(ポルトガル語でマルメラーダ)にもなっています。

     さて、問題の諏訪のカリンですが、当地に伝わった時に、カリンの品種の一つとして広まったことがきっかけのようです。現在でも国内で生産されるマルメロの85パーセントは長野県産が占めています。

    マルメロの果実

    2018/12/08

    カカオの実

     大温室の熱帯果樹の中でも特に人気なのがカカオの木です。チョコレートの原材料として有名です。

    カカオの木 全体 (2018年12月8日撮影)

     大温室の大規模改修があった関係で、2015年以降、着果が途絶えていましたが、2018年初頭に地植えした新しい2株のうち1株が、ついに実を付けました。現在、2つの実がついているのが確認できます。

    カカオの若い実 2つなっている
    大きいほうの果実


    カカオの花見ツアー(参加自由)

    • 日時:12月16日(日)11時~、14時~(各回およそ30分)
    • 講師:佐藤清隆先生(広島大学名誉教授)

     カカオやチョコレートに詳しい佐藤清隆先生(広島大学名誉教授)による、カカオの解説です。当日、人工交配も予定していますが、ここのところの寒さで着花が急に少なくなっており、当日咲くか心配ではあります。

     14日(金)、午後7時半からNHK「広島かたすみ食堂」に佐藤先生が出演しますので、こちらもお見逃しなく。

    植物公園花ごよみ(12月8日号)

    花と光のページェント(11/24~12/23)

    観賞台から見た巨大クリスマスツリー
    本物の植物で飾り付けた巨大クリスマスリース

     明日(11月24日)から12月23日までの毎週末、植物公園は夜9時まで開園します。今年で15年目を迎える「花と光のページェント」では、キャンドル3500個と35万球のLEDで園内をきらびやかに装飾しています。キャンドルの巨大平面ツリーのほかにも、光り輝く迷路やハートのトンネルなど見どころもいっぱい。きれいな景色を満喫したあとは、暖房の入った温室で普段とは雰囲気の違う植物をお楽しみください。

    コンサートの様子

     各日の18時からと19時30分からはコンサートも開催します。今回は展示資料館2階講堂で行います。
    ・コンサート出演者情報(植物公園ホームページ)

    イベントチラシ


    ・花と光のページェント2018 チラシPDF

    取材報道





    2018/12/04

    園長のおすすめ(アングラエクム・ロンギカルカー)

    アングラエクム・ロンギカルカー  Angraecum longicalcar (Bosser) Senghas

     マダガスカルに分布する大型の野生ラン。花は長さ約10cm、唇弁が上に位置するのが特徴です。長い距(きょ:蜜をためる細長い袋)をもち、現地では蛾が受粉させるといわれます。

    (園内位置:大温室フラワーコーナー)