4回目の更新では、干支(イノシシ)に因んだ植物「猪首苔(イクビゴケ)・猪切茅(シシキリガヤ)」を紹介します。なお、今回紹介する植物は園内の植栽ではありませんので、悪しからずご了解ください。
イクビゴケ 平成31年1月20日撮影(広島県呉市) |
広島県では、山道の脇などの林縁部の腐植土上で、時々見かけるコケです。ムギ粒をばらまいたように見えるのは、イクビゴケの胞子体(蒴:さく)。胞子体が大きく、また柄がほとんどなく葉にうずもれている様子から、首が太くて短い「猪首」になぞらえて名前がついたようです。
ヒトモトススキ 平成31年1月20日撮影(広島県呉市) |
ヒトモトススキは日本に分布するカヤツリグサ科の植物では最大のものであり、株丈は2 mを超えます。沿岸部の湿地や湖沼などで観察することができ、1本の茎から多くの葉が束生します。別名のシシキリガヤは葉の表面に鋸状の歯があり、猪の肉も切れるということから。写真からもわかるように、地下茎が発達して大きな株になると、通り抜けるのも一苦労です。コシダやウラジロの群落を踏査するのも大変ですが、ヒトモトススキの群落は怪我なしで通り抜けるのは至難の業です。
今回紹介した「猪首苔・猪切茅」のほかに、イノシシに因んだ植物としては、イノコヅチ(猪子槌)やシシウド(猪独活)などがあります。