・第42回広島市植物公園植物写真コンテスト 総評(PDF)
総評
生き生きとした花々の発芽から開花に至るきめ細やかな映像記録を、見事に写し止められた数多くの応募作品、四季の気温を感じながら、日々成長しているその生態への新しい視点、花々の種類・呼称、咲いている時期など、皆さん方の鋭い観察眼、新しい視点作品が多く見受けられました。
一点一点その視点に感動を覚えながら、植物園担当の方に花の正式呼称や特徴、開花時期などを、お尋ねしながら理解を深め、開花状態・蕾と色合いのバランス、ピント深度・背景処理などの諸条件をふまえて一点一点選出させていただきました。明るい色調でホットさせる幸せ、やすらぎ感の伝わる作品が、上位に選ばれました。
スナップ写真に家族団らんの微笑ましい団らん写真を期待します。
【芸北写真塾主宰・ 紺野 昇】
カメラがどんなに進化しても機器に感性を持たせることは不可能なのです。シャッターを押せば写るのですが、写真は人それぞれが持っている感性で写すものです。「写る」のと「写す」のは違うのです。カメラを手にすれば心に残る写真が撮りたいものです。画家が目の前に広がる景色をどう表現するか。画面構成は画家の意図です。写真も画面構成は撮影者の意図で決まるのです。撮影ポイントの決定から画面構成に至るまで、それぞれの持つ感性が重要な役割を持ちます。感性は10人10色、色さまざまです。良い写真だと思わせる最終判断の基準はその作品の持つ印象度だと思います。印象深い作品の多くは単純化されたものです。
今回、最優秀賞になった「御衣黄」。色は2色。華やかさには欠けるかもしれませんが、作品の前から立ち去りがたい不思議な魅力を持った作品です。
特選の4点もそれぞれ印象度の強い作品です。「ファミリー」の西洋絵画的な手法で見事な表現です。「赤い魅力」。赤と黒の組み合わせが秀逸。「フェイス」は擬人化した仕上げは見ることからさらに進んで「観る」に進化した観察眼が素晴らしい。「闇に咲く」は熟練者の作品と言った感じで素敵。
今回も気になったのは写真につけられたタイトル(キャプション)の味気無さです。タイトルは見る人が写真の核心に迫るための大切な道しるべです。軽んじてはなりません。