2020/06/09

今日の植物公園[ウチョウラン]

ウチョウラン 安芸の名月

 今日はウチョウランの紹介をします。ウチョウランは梅雨時に咲く野生ランで、日本各地に自生しています。その可憐な花姿から、蝶が羽を広げて飛んでいるさまを「羽蝶」と見立てた和名がつけられています。
 
 当園では、年間を通じて洋ランやエビネ、寒蘭など様々なランの展示をしていますが、ウチョウラン展は植物が小型で出品数も多いこと(約200点)から、見ごたえのある展示が期待できます。今年の展示会は6月13日(土)~6月18日(木)の一週間を予定しています。

ウチョウランの自生環境(渓谷の岩場)

 ウチョウランの自生環境は写真のような渓谷の岩場です。先日紹介したセントポーリアと同じ時期(昭和50年代ころ)にブームになり、当時は山取り(自生地からの採取)が多かったことから、野生種は絶滅が心配される状況に追い込まれてしまいました[広島県絶滅危惧Ⅱ類(VU)・環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)]。

広島県産のウチョウランコレクション(平成30年度展示)

 出展団体の広島ウチョウラン保存会では、かつて県内で採取された野生個体の保存に努めており、会場ではそのコレクションをご覧いただけます。冒頭の「安芸の名月」は県内個体の選抜品種です。

ウチョウラン 紫雲

 今日では、バイオテクノロジー技術の進歩によって、大量にウチョウランを生産できるようになり、自然を破壊せずに身近に手に入れられる植物となりました。

 皮肉なもので、入手が簡単になると人気は下火になりましたが、東洋蘭の中でもウチョウランは価格が安価で、栽培を始めやすい植物でお勧めできます。せっかくですので、この機会に栽培を始めてみてはいかがでしょうか。デスクにきれいに咲いた花が一鉢あると、リモート会議もはかどるのではないでしょうか。

ウチョウラン  円舌斑紋花

広島市植物公園プレスリリース「ウチョウランテンを開催」(2020年6月06日発表)