本日の話題:タギョウショウ(多行松)について
広島市植物公園の切符売り場を入ってすぐ右に、展示資料館という建物がありますが、その前の芝生の斜面の中に、キノコのような形をした松が植えられています。
展示資料館の前のタギョウショウ |
これらの松はタギョウショウ(多行松)といい、アカマツの園芸品種です。根元からたくさんの幹が分かれて立ち上がっているのが特徴です。通常、接ぎ木で増殖され、本園の株も接ぎ木から育ったものです。
展示資料館の前のタギョウショウ(拡大) |
本園は開園から44年が経過していますが、開園当時から植栽されており、樹齢は60年を超えると推測されます。とはいえ、毎年、芽摘みなどの手入れを続けているので、展示資料館前の株の樹高は1.5m~2m程度で維持されています。
ちょうど、今、「みどり摘み」の時期になっており、順次作業が進んでいます。「みどり摘み」は、春から伸びた新しい枝(芽)を短く摘むことにより枝を伸びすぎないようにし、美しい樹形を維持する作業です。
みどり摘みをする前の枝先 |
花ができている枝もあります |
みどり摘みを終えた枝 |
また、展示資料館裏の階段をのぼった所に「あずまや」がありますが、その近くに、みどり摘みの程度を調整し、枝をむやみに伸ばしすぎないように注意しながらも自然な樹形を出させるように努めて管理している株があります。こちらの株は、4m位の樹高になっています。
あずまやの近くで育てている株 |
実は、タギョウショウを多数植栽・公開している施設はあまり多くありません。本園で見られるこの風景は、意外に珍しいものですので、次回お越しの際は園内を散策しながら、注意して見つけていただくのも面白いと思います。
(ご紹介している写真は、全て令和3年5月15日に撮影したものです)