植物の中にはよく似ているものがありますが、ハス(蓮)とスイレン(睡蓮)もよく似ています。両者の見分け方でよく言われるのが、ハスは花も葉も水面から立ち上がって開き、スイレンは水面で開くというものです。大半はこれに当てはまりますが、下の写真のようにスイレンでも熱帯性スイレンは水面から立ち上がって花が咲くため、確実な見分け方ではありません。
熱帯性スイレン 'アンタレス'(令和2年の秋の夜間開園時に撮影) |
今回はそんなハスとスイレンの見分け方を紹介したいと思います。
ハス(令和3年6月9日撮影) |
スイレン(令和3年6月9日撮影) |
まずは葉での見分け方です。
ハスの葉には切れ込みがなく、触ってみるとザラザラした感触があります。このザラザラには水を弾く特徴(ロータス効果)があるため、水をかけると水玉になるのが分かります。
一方、スイレンの葉には切れ込みと光沢があり水は弾きません。葉の色も緑色だけのハスとは違い、赤色や斑入りのものがあります。
次に花ですが、一番分かりやすいのは花が散った後に果托(花が咲いている時は花托、咲き終わった後は果托と呼びます)が残るかどうかです。
ハスは花が咲き終わると果托が立ち上がったままで残り、スイレンは水の中に沈んでしまいます。花が咲いている時も、ハスの花は「果托」になる部分が観察できるので、見分けができます。
ハスの果托 |
また、根にも違いがあります。ハスの根は皆さんがよくご存じのレンコンですが、スイレンの根はワサビの根のような形をしています。
ハスとレンコンの違い
ハス | スイレン | |
葉 | 切れ込みがない、水を弾く、緑色のみ | 切れ込みがある、水を弾かない、斑入りや赤色などがある |
花 | 果托が残る | 果托が残らない |
根 | レンコンの形 | ワサビの根のような形 |