2021/09/19

今日の植物公園:実りの季節が近づいてきました

 今年は9月21日が中秋の名月、9月23日が秋分の日です。まだまだ暑い日が続きますが、その一方で秋の気配も感じられるようになってきた今日この頃です。

 今日は、園内で見られる実のいくつかをご紹介します。

イチョウ

実(種子)がついたイチョウ

落ちたイチョウの実(種子)と中から出た殻

 イチョウの実(種子)が落ち始めました。
 イチョウは雄株と雌株が別で、雌株にだけ実が成ります。
 イチョウの実は柔らかい外種皮が独特の臭いを放つので、周囲には何とも言えない臭いが漂っています。
 外種皮と固い内種皮を取り除いた中の胚乳(いわゆるギンナン)を食用としますが、外種皮には皮膚に炎症を起こす成分が含まれていますので、取り除く作業をする際はご注意ください。また、ギンナンはごく普通に食べられていますが、大量に食べると中毒を起こす場合がありますので、併せてご注意ください。
(注)本記事では「ギンナン」を食用とする胚乳に対して使いましたが、イチョウという植物そのものに対して使われたり、種子から柔らかくて臭い外種皮を除いたもの(固い内種皮の状態)に対して使われたりするなど、時と場合により色々な段階に対して使われます。


ナタマメ

ハブソウ

エビスグサ

 マメ科のナタマメ、ハブソウ、エビスグサなどが実をつけています。ナタマメは、莢(さや)の長さが大きいものでは30㎝以上になっています。


フウセンカズラ

フウセンカズラの種子

 フウセンカズラが、その名の通りの風船型の実(果実)をつけています。中に種子があり、種子にはハート形の模様があります。この種子を見て、モモレンジャーを想像するのは筆者だけでしょうか?


オキナワスズメウリ

  オキナワスズメウリの実(果実)が成っています。2~3㎝の球形に近い形をしており、白い模様が入ります。もう少ししたら緑色の部分が赤く変わり、白い模様が一段と目立つようになります。

ハトムギ

 ハトムギの実(果実)が熟してきました。ハトムギ茶の原料になります。


クリ

 クリの実(イガは総苞という葉が変化したもの)が大きくなってきました。写真の実はまだ緑色ですが、早いものでは茶黒くなって落ちているものもあります。


アベマキ

 アベマキのどんぐりが落ちています。どんぐりは種子、どんぐりの帽子(殻斗)はクリのイガと同じく総苞が変化したものです。
 広島近辺に自生する「どんぐり」が成る木は、春に花が咲いてその年の秋にどんぐりが落ちるもの①、春に花が咲いて翌年の秋にどんぐりが落ちるもの②、秋に花が咲いて翌年の秋にどんぐりが落ちるもの③がありますが、アベマキは②です。

カキノキ

 カキノキの実(果実)が大きくなってきました。あと1か月もすると、橙色になるでしょう。

ウメモドキ

 ウメモドキの実(果実)が赤くなっています。「ウメモドキ」とは言いますが、ウメの仲間ではなく、クロガネモチやイヌツゲと近い、モチノキ科の植物です。


アレチヌスビトハギ
 
 最後にアレチヌスビトハギを紹介します。マメ科の多年草で、繁殖力が強く、あちこちの空き地や道端などで見かけます。 北アメリカ原産の帰化植物です。

アレチヌスビトハギの花

 夏に、かわいらしい花を咲かせます。開花期のピークは終わりました。

アレチヌスビトハギの実

 花が咲いた後には実(果実)ができます。果実(さや)は4個程度にくびれた形をしていますが、このさやが衣服などに引っ付きやすい構造をしており、アレチヌスビトハギの茂みに入ると大変なことになります。

ズボンについたアレチヌスビトハギの実

 ズボンに1個の実をつけてみましたが、茂みに突入した時はこんなものではありません。べったりと実がついて、泣きながら(大げさな表現ですが、本当に泣いている子を見たことがあります)実を取ることになります。こうやって、動物の体に付いたりして、種子を散布しているのですが、かわいい花を咲かせるとはいえ、とても厄介な植物です。