2021/09/07

今日の植物公園:ハイビスカスの仲間

 今日はカスケードで真っ先に目についた「タイタンビカス」から話を進めていきたいと思います。

タイタンビカス

 タイタンビカスとは、日本の種苗会社が開発した植物で、開発会社のホームページによると、ある特定のアメリカフヨウとモミジアオイの交配選抜種と紹介されています。

タイタンビカス

 タイタンビカスは熱帯花木としてよく知られているハイビスカス(アオイ科)の仲間ですが、比較的寒さに強く、広島で栽培すると冬には地上部が枯れますが、地下茎が残り、春から夏にかけて勢いよく枝を伸ばします。
 夏から秋にかけて、枝先に次々と花を咲かせます。
 個々の花の寿命は1日ですが、直径が30㎝を超える大きな花を咲かせる品種が有り、とても印象的です。花の色は赤、桃、白とそれぞれの中間的な色があります。

アメリカフヨウ

 上の写真はアメリカフヨウです(今回の記事では、この写真のみ古い写真を使っています)。

モミジアオイ
 上の写真はモミジアオイです。

 アメリカフヨウ、モミジアオイのいずれもタイタンビカス同様に比較的寒さに強く、広島で栽培すると冬には地上部が枯れますが、地下茎が残り、春から夏にかけて勢いよく枝を伸ばします。いずれも、水辺の近くに自生していた植物のため乾燥に弱い傾向があります。タイタンビカスにもその性質が引き継がれており、用土を乾かすとうまく育たないことがあります。本園では、タイタンビカスの鉢植えの底に「受皿」を置いています。

受皿を置いている様子

 アメリカフヨウは個体により花の大きさにばらつきがあり、直径20㎝位のものが多いですが、直径30㎝位の大きな花を咲かせるものもあります。花色は赤、桃、白とそれぞれの中間的な色があります。
 モミジアオイは花弁と花弁の間の隙間が大きいのが特徴で、花の直径は15~20㎝くらいです。赤い花が一般的ですが、白花の品種も時々見られます。

ハイビスカスの園芸品種

 大温室などでは、一般的なハイビスカスも咲いています。初夏から秋にかけては、屋外でもハイビスカスは簡単に育てられます。

ヒビスクス・アーノッティアヌス

 ハワイ原産のハイビスカスの原種、ヒビスクス・アーノッティアヌス(学名をカタカナ表記するときは、ハイビスカス→ヒビスクスと書きます)が大温室で咲いています。

フヨウ

ムクゲ
 フヨウやムクゲもヒビスクス(ハイビスカス)属です。


 同じアオイ科ですが、ヒビスクス(ハイビスカス)属以外の植物もいくつか開花しているのでご紹介します。

ヤノネボンテンカ

パボニア・グレヒリー

 ヤノネボンテンカ、パボニア・グレヒリーは、どちらもパボニア属です。ヤノネボンテンカは比較的寒さに強く、屋外(花の進化園など)で毎年元気に開花します。パボニア・グレヒリーは寒さにあまり強くないので、大温室内に植えています。

アブチロン

 アブチロンもアオイ科です。耐寒性はあまり強くありませんが、広島市内では場所によっては越冬が可能です。

オーストラリアバオバブ

 最後に、オーストラリアバオバブの花をご紹介します。バオバブの仲間は、以前はパンヤ科(キワタ科)として分類されるのが一般的でしたが、最近は科の見直しが進み、ハイビスカスと同じアオイ科に分類されるのが一般的になりました。
 本園のオーストラリアバオバブは、年々充実した枝が増えており、開花する花の数が増えています。取材日(9月7日)は5輪開花しましたが、これを含めて今年は既に12輪開花しました。まだ10個以上の蕾が残っています。臨時休園が無事終わり、来園されたお客様に開花の様子を見ていただけることを祈っております。