2019/05/30

ハナショウブ&アジサイまつり(6/1~)

 6月は、アジサイとハナショウブの季節。植物公園では、「ハナショウブ&アジサイまつり」を開催します(6月23日まで)。期間中は、屋外展示場で「アジサイ展」も行っています。展示会に先立って、お勧めのアジサイを少しご紹介します。

ヤマアジサイ クレナイ

 クレナイ(紅)は色変わりが綺麗な品種です。咲き始めは白色で次第に赤が強くなっていきます。5月21日放送のマツコの知らない世界(TBS系列)でも取り上げられた、今注目のヤマアジサイです。

ヤマアジサイ 瀬戸の月

 瀬戸の月はコガクウツギとの自然交雑種で大きな丸い装飾花が特徴的です。高知県生まれの品種です。

和モダンスタイルのフォトスポット
アジサイ主体のハンギングバスケット

 記念撮影にお勧めなフォトスポットも毎年作っています。今年は和モダンスタイルに仕上がっています。アジサイを主体とした珍しいハンギングバスケットもお勧めです。


ハナショウブ園の開花状況(令和元年5月30日撮影)

 ハナショウブは現在5分咲きといったところ。週末には見ごろとなりそうです。初夏の風薫る植物公園でお待ちしています。期間中のイベント(お茶会など)は下のちらしをご覧ください。

ちらし・リーフレット

取材報道

植物公園花ごよみ(5月30日号)

2019/05/28

友の会ボランティア(ハンギングバスケットの作成)

完成したハンギングバスケット(観葉植物)

 植物友の会では、定期的に園内の植栽管理の補助をするボランティア活動を行っています。今回は、カスケードを彩る季節のハンギングバスケットを作成しました。大橋ハンギングバスケットマスター(日本ハンギングバスケット協会 広島・島根合同支部長)の指導を受けながら、2人1組で下から順番に苗を植えこんでいきます。雨のパラつくあいにくの天気でしたが、14名の会員の方にご協力いただきました。ありがとうございました。

完成したハンギングバスケット(インパチェンス)

 出来上がった作品は、さっそくカスケードに飾りました。これから夏休み期間まで楽しむことができそうです。

ハンギングバスケットへの植え込み
植え込み途中のハンギングバスケットの内側

 ハンギングバスケットの中はこのようにスリットが入った鉢になっています。鉢の側面のスリットから花苗を出すように植え込むことで、立体的な植え鉢を作ることができます。

ボランティア作業の様子

 友の会ボランティアは、広島市植物公園植物友の会会員であれば、どなたでも参加することができます。一緒に汗を流して、植物公園をきれいにしませんか。6月はハギ園の除草と針葉樹園の樹木剪定を予定しています。

2019/05/27

モリアオガエルの産卵

モリアオガエルの卵塊 令和元年5月23日撮影

 広島市植物公園では、広島市内では珍しいとされているモリアオガエルが生息しており、当園の日本庭園は水を多く使った自然風な庭園構成のため、モリアオガエルの希少な卵塊を観察することができます。

  • 産卵時期:5月下旬~6月上旬 
  • 産卵数:3卵塊(5月22日時点)※今後増える可能性有り 
モリアオガエルの成体(安佐動物公園提供)
モリアオガエルの産卵(安佐動物公園提供)

 モリアオガエル観察会(6/1)


 6月1日(土)13時30分から、園内でモリアオガエル観察会を実施します。 植物公園では、日本庭園のアジサイやハナショウブも6月には見ごろの季節となります。「延命、長寿」「子孫繁栄」の縁起物として伝えられているモリアオガエルの卵塊を探してみてください。

 安佐動物公園(安佐北区)でも、6月2日にモリアオガエル観察会を行っています。お近くの方は、こちらもお勧めです。

  ・モリアオガエル観察会(6/2)|安佐動物公園

園長のおすすめ(ハナショウブ 長井爪紅) 

ベゴニア・ウェイチイほか Begonia veitchii Hook.f. 

 「世界で最も美しい花」と言われることもある球根ベゴニア。色彩豊かでさまざまな形の艶やかな花を咲かせ、当園でも一番人気の植物です。ところが、このように大きく美しい花は、南米高地に自生する「ベゴニア ウェイチイ」など、清楚な花を咲かせる7種類の交配を重ねて作り出したものです。植物公園のベゴニア温室では、そのうち5種類を一堂に展示しているので、珍しい野生種を観察し、同時に交配育種による変貌を実感することができます。

(園内位置:ベゴニア温室)

2019/05/26

セントポーリア展&うんちくガイド

セントポーリア ハワイアントレイル

 「セントポーリアとイワタバコの仲間展」を展示温室にて開催中です(~6月6日(木)まで)。植物公園のイワタバコ科野生種コレクションと広島セントポーリアの会会員が出品した園芸品種を一堂に会した、国内有数の展示会です。イワタバコの花ことばは「小さな愛」。可憐な花をぜひご覧ください。

  • 出品数
    • 広島セントポーリアの会(会員6名)
      • セントポーリア園芸品種 143株
    • 植物公園
      • セントポーリア野生種 18種138株
      • イワタバコ科植物 50種

セントポーリア 野生種の展示

 会期の初日に合わせて、展示解説(職員による植物うんちくガイド)も行いましたので、あわせてご紹介します。

世界のイワタバコ科植物の展示と担当者による解説

 今回のうんちくガイドのテーマは「セントポーリアとイワタバコの仲間展と乾燥地の植物」。サボテン温室と本展示の両方を担当している栽培・展示課の平井主任技師が今回の講師を務めました。写真は、世界のイワタバコ科植物の分布や特徴を解説しているところです。

ストレプトカーパス属の野生種

 イワタバコの名前は、「湿った岩の隙間に自生する+タバコのような大きな葉」が由来。ストレプトカーパスは牛の舌のような大きな葉を1枚だけ展葉するのが特徴で、生涯を1枚の葉のみで過ごし、花が咲くと枯れてしまいます。

サボテン温室(金鯱とプルメリア)

 続いて、サボテン温室に移動して、乾燥地の植物を観察しました。厳しい環境で生き抜いていくための知恵を学んでいきます。

光を求めて移動するサボテン

 植物は動物と違って移動できないと思いがちですが、光や水を求めて生長する向きを変えていきます。より多く日光に当たるために、南面に向かって伸長しています。

砂の隙間から芽生えた実生のサボテン

 ウチワサボテンの近くの植え込みをよく見てくると…1センチにも満たないサボテンの赤ちゃんが見つかりました。こぼれ種で発芽したのでしょう。種で増えたり、葉や植物体の一部から増えたり、乾燥地の植物の繁殖戦略にもいろいろあります。

 これからの時期は暑いので素通りしがちなサボテン温室ですが、過酷な環境でも生存できる「乾燥地の植物」の戦略を想像すると楽しいひと時を過ごせるかもしれませんね。

 最後に、観察の参考になるガイド資料を添付しておきます。

配布資料(サボテン温室~様々な生き残り戦略)

 次回のうんちくガイドは6月11日(火)11時から、テーマは「和の植物見て歩き」、見頃のハナショウブ・アジサイをご案内します。

2019/05/20

園長のおすすめ(マイヅルテンナンショウ)

マイヅルテンナンショウ Arisaema heterophyllum Blume

 サトイモ科。マムシグサやユキモチソウの仲間で、本州、四国、九州と分布域は広いのですが、生育地や生育個体数は少ない希少種です。当園の株は広島県内産で、保存用に栽培を頼まれたものを増殖させているものです。自生地では高さ1m以上の個体も見られ、大きく広がった葉は名前のとおり鶴の羽を連想させます。葉から高く抜き出て咲く花も、遠目には鶴の顔に見えるかもしれません。

(園内位置:里山の野草園)

2019/05/15

植物公園花ごよみ(5月15日号)

友の会ボランティア(ベゴニアの植付け)

植付けの向きについてレクチャーを受ける参加者

 植物友の会では、定期的に園内の植栽管理の補助をするボランティア活動を行っています。今回は、ベゴニア温室周辺に、ベゴニア・ビッグの苗を定植しました。まず、職員からベゴニアの特徴や植え方の説明を受けたのち、プランターと花壇に苗を植え付けていきます。4名の会員の方にご協力いただきました。ありがとうございました。


綺麗に植え付けられたベゴニア温室前花壇 令和元年5月15日撮影

 写真の様に均等に植付けができています。これから夏にかけて、きれいな花を咲かせてくれることでしょう。

 友の会ボランティアは、広島市植物公園植物友の会会員であれば、どなたでも参加することができます。一緒に汗を流して、植物公園をきれいにしませんか?

2019/05/14

植物うんちくガイド(見頃のバラ)

バラ園でのガイドの様子

 新年度3回目となる、職員による植物うんちくガイドを行いました。今回のテーマは「見頃のバラ」。ローズフェスティバルも始まり、花盛りのバラ園でバラの歴史や楽しみ方について解説を行いました。天気も良く、40名近い参加者があり、盛況な回となりました。

本日の講師 大矢技師(バラ園・進化園担当)

 本日の講師は、栽培・展示課の大矢技師(バラ園・進化園担当)。オールドローズやフロリバンダ、ハイブリットティーなどよく耳にするバラの基本的な系統についての話や、バラの育種の歴史など実物を観察・比較していきました。

 ガイドの中で紹介されたバラの品種の一部をお見せします。

グルス アン アーヘン(フロリバンダ、1909年登録)
クリムソン グローリー(ハイブリットティー、1935年作出)
オフェリア(ハイブリットティー、1912年登録)

 職員によるバラの解説は今日だけですが、ローズフェスティバル期間中(~5/26)の土・日には、ガイドボランティアがバラ園をご案内する「ローズガイドツアー」を行っています。時間は11:00~と14:00~(18日・19日は午前のみ)。説明を聞きながら、植物を観賞するとより植物のことが好きになるはずです。是非ご参加ください。

 なお、次回のうんちくガイドは5月25日(土)11時から、セントポーリア展&乾燥地の植物(サボテン温室)を解説します。

取材報道

園長のおすすめ(バラ 聖火)

バラ 聖火(Rose SEIKA [The Olympic Flame], HT,1966)

 「聖火」は、1964年の東京オリンピックを記念して命名、登録された大輪のバラです。咲き進むにつれて花弁を縁取る紅色が変化する様子は、燃えあがる炎を連想させます。1971年には国際的コンテストで金賞を受賞するなど、世界に誇れる日本の品種です。

(園内位置:バラ園)

園長のおすすめ(トウサワトラノオ)

トウサワトラノオ Lysimachia candida Lindl.

 サクラソウ科、オカトラノオ属の多年草。湿地や休耕田に生え、サワトラノオに比べると花が大きいことが特徴です。愛知県と栃木県に自生し、中国にも分布しています。栃木県では1955年を最後に絶滅したと考えられていましたが2006年に偶然発見されました。

(園内位置:花の進化園)

2019/05/12

ローズフェスティバルが始まりました

バラ園の様子 2019年5月8日撮影

 ローズフェスティバルが始まる直前の木曜日、数日続いた暖かさで急に満開に近づいてきました。手前の白いバラはネージュパルファム、香りのよさで有名なバラです。奥の濃いピンクのバラは、マリア カラスです。

フロリック 2019年5月8日撮影

 フロリックは、抜群の花数を誇るフロリバンダ系のバラです。すでに沢山咲いているように見えますが、つぼみはまだまだ数多く残っています。

ゼフィリーヌ ドルーアン 2019年5月8日撮影

 ログハウスの周りの庭、ログガーデンでもバラが咲き始めました。こちらはアーチに登りかけているオールドローズのゼフィリーヌ ドルーアンです。

ローズガイドツアー 2019年5月11日午前の回

 5月11日、ローズフェスティバルが始まりました。初回のローズガイドツアーの様子です。当園ではオールドローズとモダンローズの違いを間近で観察することが出来ます。


フレッシュ・ドライハーブで作る小さな置物

 クラフトコーナーでは、フレッシュ・ドライハーブで作る小さな置物を、11、12日限定で実施しました。直前の金曜日にNHKのお好みワイドひろしまで紹介されたこともあり、大盛況のうちに終了しました。

2019/05/09

園長のおすすめ(コーヒーノキ)

コーヒーノキ Coffea arabica L.

 コーヒーノキが満開です。栽培適温は2224℃ですから、夏が猛暑になる植物公園でこのようにたくさんの花を咲かせることはあまりありません。大温室内に空中デッキが新設されたおかげで純白の花を間近で観察し、独特の香りを楽しむこともできます。花の寿命が短いので早めにおいでください。

(園内位置:大温室[くだものと暮らしのコーナー])

園長のおすすめ(ヒスイカズラ)

ヒスイカズラ Strongylodon macrobotrys A.Gray

 広島市植物公園ではおなじみだったヒスイカズラが見頃を迎えています。大温室工事のため4年ぶりの開花となりました。移植が困難といわれる植物なので工事に伴う移動が成功するかどうか心配しました。開花時期が少し遅れたものの以前のようにヒスイ色の花を咲かせてくれました。

(園内位置:大温室[フラワーコーナー])

バラの開花状況(5月6日時点)

 「ローズフェスティバル2019」は、5月11日(土)から開催します。連休中は良い天気が続き、続々とバラが開花してきましたので、11日(土)のイベント初日には、かなり咲きあがってくると思われます。

 植物公園には、地植え株以外にも多くの鉢植えの品種コレクションがあります。その一部を紹介します。

プリンセス ミチコ 2019年5月5日撮影
ゴールデン セプター 2019年5月5日撮影

イナ ハークネス 2019年5月5日撮影
ドクター アンドレイ 2019年5月5日撮影

 ドクター アンドレイは、ハイブリッド パーペチュアル系のオールドローズですので、モダンローズ主体の一般的なバラ園では見かけることの少ない品種です。

 地植えのバラも紹介します。

ピース メーカー 2019年5月5日撮影

 ピースメーカーは、広島で作出されたバラです。

グラナダ 2019年5月5日撮影

 地植えのモダンローズで、一番早く咲き揃いそうなのは、グラナダです。5月5日時点でご覧のとおりです。奥に巨大なつるバラ、リージャンロード クライマーもあります。

取材報道

2019/05/07

双頭のゴジラ?進化園に出現!

帯化したジギタリス 令和元年5月6日撮影

 花の進化園のジギタリス(Digitalis purpurea L.[オオバコ科])のなかに、変な形をした株が紛れています。近づいてみると双頭のゴジラの様にも見えます。すわ、新種のジギタリスかとも考えたくなりますが、残念ながらただの奇形です。帯化現象(fasciation)といって、茎の頂端にある生長点に異常が生じることで、茎の先端が帯の様に広がったり、複数の枝がひっついたりします。サボテンや多肉植物では、珍奇な形質の品種として愛好されています。また身近なところでは、路傍のタンポポやユリでときどき見かけることもあります。

ジギタリスの花序 令和元年5月6日撮影

 ちなみに、帯化していない普通のジギタリスの株はこのような感じです。

帯化した株の花序 令和元年5月6日撮影

 この株の花は今が咲きはじめ。うっかり通り過ぎそうな場所に咲いていますので、気をつけて探してみてください。

2019/05/06

植物よもやま話:「バルサ」

 植物よもやま話は、見どころ案内や花ごよみでは紹介しきれなかった園内の植物について、広報担当の職員が紹介するコラムです。不定期で更新する予定です。

 5回目の更新では、水に浮かぶ木「バルサ」を紹介します。

バルサの花 令和元年5月4日撮影

 バルサは中米~南米北部(メキシコ南部・エクアドル・ブラジルなど)原産のパンヤ科(アオギリ科)常緑高木です。コーンに盛ったアイスクリームのような独特の花が開花しました。花は夕方の日没ごろに咲き始め、ミツバチなどの昆虫や小動物が花粉を運びます。

 バルサ(Balsa)とは、スペイン語で筏を意味する単語です。探検家トール・ヘイエルダールがインカ時代の筏船を模したコンティキ号で太平洋を横断した際の筏材としてよく知られています[コン・ティキ号探検記]。材が軽く(水に浮き)、加工しやすく、軽い割には強度があることから、古くから船材に用いられてきました。

 世界で最も軽い木(木材)として紹介されることも多い植物ですが、この表現は正確ではなく、”市井に流通するなかでは…”と但し書きが必要です。植物としては、より比重の軽い樹種(流通性のある樹種としてはQuipo[クイポ、Cavanillesia platanifolia (Humb. & Bonpl.) Kunth]が最も軽い?)もありますが、脆く壊れやすい、入手性が悪いなどと木材としての実用性がないので、見かけることがないだけなのです[参考:金平ほか(1919)Wiepking and Doyle(1955)]。なお、バルサの材は、模型飛行機や救命浮環などに用いられています。
 
 ちなみに、日本原産の樹木で最も比重の軽い木はキリとされますが、沖縄のデイゴもほぼ同じ比重で、どちらが日本一かは木の個体差や測定条件によるところも多く、判定は微妙です。

1年前のバルサの木(樹高約2 m) 平成31年5月3日撮影

 バルサは生長の早い木としても知られており、現地では樹高が30 mを超えることもあります。植えた時には人の背丈ほどだった株が、1年の間に高さ約10 mの管理用通路に届くまでに生長しました。特徴的な大きな葉は、少しでも早く伸長して、ほかの植物との光を巡る競争に負けないようにするための戦略です。このような戦略をとる植物のことをパイオニア植物(先駆植物)と呼んでいます。大温室の中で伸び伸びと育つバルサの木をご覧ください。

現在のバルサ(樹高約10 m)