進化園ではヒガンバナの仲間が見頃を迎えつつあります。
ヒガンバナ (令和2年9月21日撮影) |
ヒガンバナは中国原産の植物で、秋の彼岸の頃に咲くことからこの名前が付けられたといわれています。花が終わった後に葉を展開させ、競争相手が少ない冬の間に栄養を蓄え、夏には葉が枯れて無くなるという変わった生活史をしています。そのため「ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)」という名前もついています。
日本に生育しているヒガンバナは三倍体のため種子ができず、分球で増えていきます。このため洪水などの例外を除いて人の手によって分布が広がったと考えられており、人里周辺でしか見ることができません。
地下部の球根(鱗茎)に毒があるため、穴を掘る動物(モグラ、ネズミ、アナグマ等)避けとして、田んぼや土手、墓地の周辺によく植えられています。 また、有毒成分のリコリンは水に晒すと抜けるため、かつては救荒植物として食べられたこともあったようですが、毒抜きが不十分で亡くなることもあったそうです。
このように人に身近な有毒植物だったこと、植えてある場所や花の形が変わっていたこともあり、非常に多くの名前が付けられました。一例として「ジゴクバナ(地獄花)」、「シビトバナ(死人花)」、「ハカバナ(墓花)」、「ハナビバナ(花火花)」、「マンジュシャゲ(曼殊沙華)」など様々な名前があり、その数は1,000以上あると言われています。
ヒガンバナは進化園とハナショウブ園に植えてあり、今週末が見頃になると思われます。
コヒガンバナはヒガンバナとよく似ていますが、こちらは種子ができるという特徴があり、本種から突然変異で出来たヒガンバナが日本に渡来したと考えられています。こちらは今週中が見頃になると思われます。
ショウキズイセンはヒガンバナに似た黄色い花を咲かせます。名前の由来は鍾馗(防疫や学業の神)から付けられたといわれています。こちらは咲き始めとなっています。
シロバナマンジュシャゲ(進化園) |
シロバナマンジュシャゲ(ハナショウブ園) |
先日紹介したシロバナマンジュシャゲですが、進化園では咲き始め、ハナショウブ園では今が最盛期になっています。