2021/06/14

今日の植物公園[6月14日号]:アジサイ展

 広島市植物公園は、緊急事態宣言に伴い6月20日まで休園しています。

 21日からは再び皆様とお会いできることを強く期待して、開園に向けた準備を進めています。

 この季節の見頃の花の一つとして「アジサイ」が挙げられますが、本来なら5月29日から6月20日までの会期で「アジサイ展」が予定されていたところ、中止となっておりました。

 とはいえ、20日を過ぎても観賞できる状態の株も残っており(というか、残そうとして、担当者が頑張った結果なのですが)、屋外展示場にて臨時のアジサイ展が出来そうな状況になっています。

 今日は、現在準備が進んでいるアジサイ展の様子をご紹介します。

準備が進む「アジサイ展」の様子

 展示されているアジサイの大きなグループの一つとして、ヤマアジサイがあります。
 ヤマアジサイは、後で紹介するガクアジサイよりも小ぶりで、葉が薄く光沢に乏しく、伏せた毛を持つという特徴があります。

ヤマアジサイ❛日向青❜

ヤマアジサイ❛クレナイ❜



 このほかのグループに、ガクアジサイがあります。
 ガクアジサイは、ヤマアジサイよりも大ぶりで、葉が厚く光沢があり、葉には毛がほとんどありません。ガクアジサイと言うと、下の写真のような、一部の装飾花(がく片が発達して大きな花に見えるもの)が目立つものを示すように思いがちかもしれませんが、

ガクアジサイ❛三原八重❜

ホンアジサイ

 上の写真のように、ほぼすべての花が装飾花となるもの(てまり咲き)もあります。ちなみに、ガクアジサイで、このような「てまり咲き」の特徴を示すものを「ホンアジサイ」とも呼びます。

ガクアジサイ❛オタクサ❜

 上の写真は❛オタクサ❜という品種です。江戸時代後期に来日した医師のシーボルトが、妻の名にちなんで名づけたものとされています。

ガクアジサイ❛八千代鳥❜

 上の写真のように、装飾花のがく片が細くなったものもあります。
 
 ここから後は、「園芸アジサイ」です。一見、ガクアジサイとの違いが分かりにくいですが、由来としてはヤマアジサイとガクアジサイをもとにして作り出した品種群となっています。このグループにも、一部の花が装飾花となる(「ガクアジサイ」と呼んでしまいそうになる)タイプや、てまり咲きとなるタイプの両方が含まれています。

園芸アジサイ❛水凪鳥❜

園芸アジサイ❛プリンスブルー❜

園芸アジサイ❛万華鏡❜

 上の写真は❛万華鏡❜という品種です。52㎜のレンズキャップと比べていただくと、花の集合体(花序)の大きさがよくわかると思います。

 アジサイは、土の酸度で花の色が変わります。それを実験したのが、下の写真です。

園芸アジサイ❛フラウ・トシコ❜

 左右で全く違う花のように見えますが、どちらも同じ品種で、左のピンク色の株はアルカリ性に調整した用土で育てたもの、右の紫色の株は酸性に調整した用土で育てたものです。この品種は、桃色に近い赤紫色の花を咲かせるのが一般的とされています。


水盤に花を浮かべたもの

 いかがでしたか?紹介したもの以外にもたくさんのアジサイを見ることができます。
 鉢植え以外にも、園内にはたくさんのアジサイがまだ咲いていますので、臨時休園が無事に明け、皆様に楽しんでいただけることを期待しています。