今日の植物公園:植物公園花ごよみ(9月25日号)
広島市植物公園ブログ
2021/09/25

今日の植物公園:植物公園花ごよみ(9月25日号)

 広島市植物公園では、「植物公園花ごよみ」と題して、来園者に見頃の花を12枚の写真で案内する掲示物を2006年から定期的(概ね2週間毎)に作成し、園内に掲示しています[ウェブ版はこちら]。

 園内が広いので、12枚の写真では多くは紹介できないのですが、おなじみの植物から、植物園ならではの種類まで、見ごろの植物の中から、広報担当が今一押しのものを幅広く選んでいます。

 臨時休園中はお休みしていましたが、季節がだいぶ秋に変わってきましたので、一月半ぶりに新しい花ごよみを作成しました。

 「今日の植物公園」のコラムは、今回の植物公園花ごよみ(9月25日号)に選んだ12種類の植物に、解説を加えた特別版で、園内の見ごろの花をご紹介します。

1.シオン(ログガーデン・園内各所)

シオン Aster tataricus L.f.

 シオンは中国原産、キク科の多年草。元々は観賞用ではなく、薬草として奈良時代かそれ以前に渡来したとされています。和名は、紫色の根をしていることから、生薬名の「紫苑」を音読みしたものです。

2.クジャクアスター(ログガーデン)

クジャクアスター Aster hybrids

 クジャクアスターは、クジャクソウとも呼ばれ、北米原産の宿根アスター(キク科シオン属)のなかまを掛け合わせた園芸品種の総称です。小さな花を密集して咲かせる花姿を孔雀の羽に見立てており、花束の添花にもよく用いられています。

3.オオケタデ(花の進化園)

オオケタデ Persicaria orientalis (L.) Spach

 オオケタデは東南アジア原産、タデ科の1年草。タデ科の植物の中では最も背が高くなり、江戸時代に観賞用として導入されました。まむし毒に効く薬草としても用いられ、当時の人はオオケタデのことをポルトガルから伝わった蛇毒の薬名と同じ名前で「ハブテコブラ」とも呼んでいたそうです。

4.アシタバ(花の進化園)

アシタバ 

 アシタバは日本原産、セリ科の多年草。八丈島などの伊豆七島の名産とされ、健康野菜としても流通しています。食べるために葉を摘んでも明日には新しい葉が生えてくることから、「明日葉(あしたば)」の名前がついたとよく本に書かれていますが、さすがに1日で新葉が展開することはなく、早くとも数日はかかります。

5.ダリア ’イエロークリスタル’(花の進化園)

ダリア ‘イエロークリスタル’ Dahlia 'Yellow crystal'

 ダリアはメキシコ・グアテマラ原産、キク科の多年草(球根)。花がボタンに似ていることから、テンジクボタン(天竺牡丹)とも呼ばれます。花の進化園では、カラフルなダリアの園芸品種をまとめて植栽しており、花盛りです。

6.アサヒカズラ(熱帯スイレン温室)

アサヒカズラ Antigonon leptopus Hook. et Arn.

 アサヒカズラはメキシコ原産、タデ科の多年草(つる植物)。別名はニトベカズラ、5千円札の肖像で有名な新渡戸稲造博士に献名されたものです。沖縄では屋外で越冬できるので、パーゴラなどにアーチ仕立てにして楽しまれています。

7.アガベ 雷神(サボテン温室)

アガベ 雷神 Agave potatorum Zucc.
var. verschaffeltii (Lem. ex Jacobi) Berger. 

 アガベ 雷神(アガベ・ポタトルム)はメキシコ原産、リュウゼツラン科の多年草。学名(種小名)のpotatorumはラテン語で「飲酒」・「醸造」を意味し、メスカル(メキシコの蒸留酒)の原料になります。

8.マツムラソウ(ロックガーデン)

マツムラソウ Titanotrichum oldhamii (Hemsl.) Soler.

 マツムラソウは日本(石垣島・西表島)・台湾・中国原産、イワタバコ科の多年草。湿っぽい岩場を好み、自生地が限られていることから絶滅が心配されている植物の一つです[環境省絶滅危惧IA類(CR):ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの]。

9.シラヤマギク(ロックガーデン)

シラヤマギク Aster scaber Thunb.

 シラヤマギクは日本・朝鮮・中国・シベリア原産、キク科の多年草。春先の若い葉(ロゼット葉)は食べられることから、同じく食べられる「ヨメナ(嫁菜)」と対比して「ムコナ(婿菜)」の別名が付いています。

10.オオイヌタデ(里山の野草園)

オオイヌタデ Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre var. lapathifolia

 オオイヌタデは北半球の温帯地方原産、タデ科の1年草。名前は大きなイヌタデ(刺身のつまに使われるヤナギタデと違い、食べられず役に立たない)の意味で、道端や荒れ地などによく生えています。

11.イズモアザミ(里山の野草園)

イズモアザミ Cirsium indefensum Kitam.

 イズモアザミは中国地方(広島県・鳥取県・島根県・山口県東部)原産、キク科の多年草。以前はトゲナシアザミと呼ばれていた植物ですが、実際には刺がたくさんあり、和名と実態があっていないことから、イズモアザミの新しい和名が提唱されています。

12.シラハギ(ハギ園)

シラハギ Lespedeza thunbergii (DC.) Nakai subsp. thunbergii
  
f. alba (Nakai) H.Ohashi et K.Ohashi

 シラハギはミヤギノハギ(日本原産、マメ科の多年草)の白花品種です。ハギ園では、本種の他にキハギやヤマハギなどが見頃を迎えており、ハギ園内に設けた秋の七草コーナーではフジバカマ(キク科)などが咲いています。
今日の植物公園:問い合わせの多い植物(と蝶)
広島市植物公園ブログ
2021/09/22

今日の植物公園:問い合わせの多い植物(と蝶)

 9月も終わりに近づき、季節は秋に移り変わりりつつあります。今回はこの時期にお問い合わせの多い植物と現状を紹介します。

オーストラリアバオバブ

 今年は8月28日の開花を皮切りに現在までに40輪以上の花が開花しましたが、残念なことに臨時休園期間中のため、見ていただくことができませんでした。
 現在は蕾はほとんどなくなっており、9月末までに今年の開花は終了しそうです。

オーストラリアバオバブの花(令和3年8月29日撮影)

オーストラリアバオバブの花(令和3年9月22日撮影)

ヒガンバナ

 ハナショウブ園に植えてあるヒガンバナですが、今年は開花が例年より早く9月18日頃に最盛期を迎えました。現在は色褪せ始めており、まもなく終了します。

最盛期のヒガンバナ(令和3年9月18日撮影)

ヒガンバナ(令和3年9月22日撮影)

シュウメイギク

 ログハウス周辺のシュウメイギクはまだ蕾が固そうです。開花は10月以降になると思われます。

シュウメイギク(令和3年9月22日撮影)

コスモス

 レストラン前花壇に植えてあるコスモス'センセーション'はまだ蕾ができ始めたばかりです。
 数輪開花していますが、見頃は10月中旬~下旬になりそうです。

コスモス(令和3年9月22日撮影)

コスモスの蕾(令和3年9月22日撮影)

アサギマダラ

 旅する蝶として有名で、この時期特にお問い合わせの多いアサギマダラですが、バタフライガーデンにはまだ飛来していません。広島市植物公園では例年9月末頃からフジバカマやコバノフジバカマを吸蜜するために飛来が始まりますので、飛来が確認できましたらまた紹介します。

コバノフジバカマ(令和3年9月22日撮影)

(おまけ)キレンゲショウマ

 例年なら花が終わっているキレンゲショウマですが、花の進化園にある株はまだ蕾を多く付けているため、もしかしたら10月上旬まで観賞できるかもしれません。

キレンゲショウマ(令和3年9月22日撮影)

キレンゲショウマの蕾(令和3年9月22日撮影)
今日の植物公園:ヒガンバナの花のつくり
広島市植物公園ブログ
2021/09/21

今日の植物公園:ヒガンバナの花のつくり

ヒガンバナ(2021年9月19日撮影)


 朝夕の気温が低下しはじめ、過ごしやすい日が増えてきました。本日、9月21日は中秋の名月です。今年の中秋の名月は満月にあたるようで、きれいなお月様が見られるのが今から楽しみです。

 さて、中秋の名月と同じくこの時期の風物詩といえばヒガンバナです。「彼岸花」の名の通り、秋のお彼岸の頃になると真っ赤な花が突如として現れ、秋の訪れに彩りを添えます。園内でも、ハナショウブ園周辺の土手に群植したヒガンバナが一斉に開花しました。

一目でヒガンバナとわかる特徴的な花


 ヒガンバナといえば鮮烈な赤色の印象もさることながら、その独特な花の形もとても印象的です。長く伸びたおしべとめしべは天に伸びる美しい曲線を描き、大きく開いた花びらはボリュームを感じさせます。

複数の花が付いている
分解すると6個の花がついていた

 ヒガンバナの花を近くでよく見てみると、1本の茎に花が複数ついているのが分かります。植物学の用語で、花のついた枝全体および花の付き方のことを花序(かじょ)といいますが、ヒガンバナの花は節間が伸長せずに花軸の先端に複数の花がつく散形花序(さんけいかじょ)の典型です。ひとつの大きな花に見える花序を分解してみると6個の花がついていました。

ヒガンバナの花

 取り出したヒガンバナの花をアップで写してみました。花をよく見ると、花びらは見えますが「がく」が見当たりません。実はヒガンバナの花は、がくと花びらの区別がほとんどつかず、どちらも花びらのような形をしています。ヒガンバナの花のように、がくと花びらの区別がつかない場合は「がく」・「花びら(花弁)」という呼び方はせず、それぞれ外花被(がいかひ)・内花被(ないかひ)と呼びます。ヒガンバナのなかまの他にアヤメやユリのなかまもこのような花を持ちます。

 以上、今が見頃のヒガンバナの花のつくりを詳しく見てみました。よく目にする花でも、その形を詳しく調べてみると意外な発見があるかもしれません。みなさんもぜひ試してみてはいかがでしょうか。