今日の植物公園[6月7日号]:動物の名を持つ植物1
広島市植物公園ブログ
2021/06/07

今日の植物公園[6月7日号]:動物の名を持つ植物1

本日の話題:動物の名を持つ植物1

 同じ生きものでも、動物は動きや変化があるので植物よりも注目される機会が多く、植物園の職員としては、動物園の可愛い動物やそれを扱う職員に対して時には嫉妬することもあります。

 今日はもっと植物に注目してほしいということで、動物の名前を持つ植物をいくつか紹介します。干支の植物など、生きものに因んだ名前を持つ植物はたくさんあるので、シリーズで紹介していきたいと思います。

パンダ(大熊猫)[ロックガーデン]

パンダカンアオイ 平成31年3月12日撮影

 パンダカンアオイ(ウマノスズクサ科)は、パンダと同じく中国原産(湖北省~四川省)の植物です。白黒模様の花(萼筒)は可愛らしく、山野草として人気があります。植物公園ではロックガーデンに植栽しており、3月~4月ごろ花を見ることができます。

ネコ(猫)[ロックガーデン]

ネコノチチ 平成30年9月18日撮影

 ネコノチチ(クロウメモドキ科)は日本・中国・朝鮮半島南部に自生する落葉高木です。広島では沿岸部に少なく、吉備高原面の渓谷や林縁部に分布してします。楕円形の果実の形を「雌猫の乳首(猫の乳)」に見立てた名前はとてもインパクトがあり、一度覚えると忘れられない植物です。果実は9月頃から色づき始め、秋が深まるにつれ順番に黒く熟していきます。
 個人的な感想ですが、一列に並んだ果実の姿(上の写真)から、六波羅蜜寺の空也上人像(口から出た仏様)が連想されました。

タヌキ(狸)[ロックガーデン]

タヌキマメ 平成30年9月18日撮影

 タヌキマメ(マメ科)は、丘陵地の日当たりの良い草地や道端に生えるマメ科の一年草です。広島では野生のタヌキマメを見る機会が少なくなってきました(以上、園長のおすすめ[2020/08/27掲載より引用)。果実の形がタヌキのしっぽに見えるとも、紫色の花がタヌキの顔に見えるとも言われますが、どちらが本当なのでしょうか?

ゾウ(象)[大温室]

ゾウコンニャク 平成30年4月20日撮影

 ゾウコンニャクは大温室で人気のある植物の一つです。今年まで10年連続で開花したことで話題になりました。ゾウコンニャクは東南アジア~オーストラリア原産のコンニャクのなかまで、地中の球根がゾウの足に似ていることからこの名前がついています。
 写真のように、大人2人で抱える必要がある位に大きなコンニャクイモ(当時の重さは44㎏!)を作りますが、マンナン(こんにゃくの主成分)を含まないので、こんにゃくにはできません。その代わり、デンプンが多く含まれるので、原産地では救荒作物として利用されているようです。

ウサギ(兎)[熱帯スイレン温室]

ウサギゴケ 令和3年2月25日撮影

 ウサギゴケ(タヌキモ科)は南アフリカ原産の食虫植物です。熱帯スイレン温室の食虫植物コーナーで展示しています。花は1円玉より小さく、気をつけないと、花が咲いていることを見逃してしまいます。ルーペで花を大きくして見ると、ウサギの顔のように見えます。

おまけ:ネズミ(鼠)[ツバキ園周辺ほか]

ネズミノオゴケ 平成30年6月24日撮影

 ネズミノオゴケ(アオギヌゴケ科)は水が滴るような岩場や渓谷などによくみられるコケ植物です。園内にはツバキ園周辺のコンクリート側溝の周りにたくさん生えています。ネズミの尻尾に見立てた名前ですが、これだけたくさんネズミの尾があると、少しクールに感じますね。

(次回に続く)