Q&A 6.花壇に開いた十円玉弱の穴
広島市植物公園ブログ
2019/07/05

Q&A 6.花壇に開いた十円玉弱の穴

Q.夏前に花壇に十円玉弱くらいの穴が見られます。
一体何なんでしょうか?

A.おそらく蝉の幼虫が抜け出た穴だと思われます。他にもハンミョウの幼虫も穴を掘りますが、完全な円形で、2~3mmほどの大きさしかありません。

 蝉はカメムシ目セミ科の昆虫で、春の春ゼミから秋のツクツクボウシまでいろいろな種類がありますが、多いのは夏場に発生するアブラゼミ(体長約60㎜)やクマゼミ(体長60~70㎜)で成虫になった後の抜け殻をよく見かけることができます。交尾した後に枯れ木などに卵を産み、翌年の梅雨の頃に孵化し、地中に潜り込み、長い口吻(こうふん)を木の根に突き刺して樹液を吸いながら生活します。アブラゼミでは約4回の脱皮を繰り返しながら6年くらい地中生活を行い、終齢幼虫になると体も茶色くなり複眼もできます。この頃になって来ると地面近くまで縦穴を掘って様子を伺い、晴れた日の夕方地表に這い出して、木に登って羽化します。穴はその時のものだと思われます。そのままほっておいても構いませんが、見た目が悪いようでしたら埋め戻しておけば問題はありません。他に蛾(スズメガやヨトウガなど)などが羽化する時に出た穴である可能性もありますが、時期が違いますし、これらも埋め戻しておけば問題はありません。どうしても気になる場合は産卵の時期に合わせて樹木に農薬を散布して蝉を近づけないようにしたり、孵化する梅雨前に農薬を散布して幼虫を排除したりします。しかし、幼虫で6~17年過ごして、やっと成虫になって1か月くらいしか過ごせないので、沢山でなければ地上に這い出させてあげてもいいのではないでしょうか?

 [文 田川朋男]

セミの抜け殻


出展:はなの輪第160号 プラントドクターQ&Aより

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