今日の植物公園:ヒガンバナの花のつくり
広島市植物公園ブログ
2021/09/21

今日の植物公園:ヒガンバナの花のつくり

ヒガンバナ(2021年9月19日撮影)


 朝夕の気温が低下しはじめ、過ごしやすい日が増えてきました。本日、9月21日は中秋の名月です。今年の中秋の名月は満月にあたるようで、きれいなお月様が見られるのが今から楽しみです。

 さて、中秋の名月と同じくこの時期の風物詩といえばヒガンバナです。「彼岸花」の名の通り、秋のお彼岸の頃になると真っ赤な花が突如として現れ、秋の訪れに彩りを添えます。園内でも、ハナショウブ園周辺の土手に群植したヒガンバナが一斉に開花しました。

一目でヒガンバナとわかる特徴的な花


 ヒガンバナといえば鮮烈な赤色の印象もさることながら、その独特な花の形もとても印象的です。長く伸びたおしべとめしべは天に伸びる美しい曲線を描き、大きく開いた花びらはボリュームを感じさせます。

複数の花が付いている
分解すると6個の花がついていた

 ヒガンバナの花を近くでよく見てみると、1本の茎に花が複数ついているのが分かります。植物学の用語で、花のついた枝全体および花の付き方のことを花序(かじょ)といいますが、ヒガンバナの花は節間が伸長せずに花軸の先端に複数の花がつく散形花序(さんけいかじょ)の典型です。ひとつの大きな花に見える花序を分解してみると6個の花がついていました。

ヒガンバナの花

 取り出したヒガンバナの花をアップで写してみました。花をよく見ると、花びらは見えますが「がく」が見当たりません。実はヒガンバナの花は、がくと花びらの区別がほとんどつかず、どちらも花びらのような形をしています。ヒガンバナの花のように、がくと花びらの区別がつかない場合は「がく」・「花びら(花弁)」という呼び方はせず、それぞれ外花被(がいかひ)・内花被(ないかひ)と呼びます。ヒガンバナのなかまの他にアヤメやユリのなかまもこのような花を持ちます。

 以上、今が見頃のヒガンバナの花のつくりを詳しく見てみました。よく目にする花でも、その形を詳しく調べてみると意外な発見があるかもしれません。みなさんもぜひ試してみてはいかがでしょうか。