今週の植物公園:1円玉より小さな花
広島市植物公園ブログ
2022/03/24

今週の植物公園:1円玉より小さな花

1円玉(直径1センチ)より小さな花 令和4年3月22日撮影

 3月21日に広島気象台がソメイヨシノの開花を発表し、いよいよ本格的な春がやってきます。植物公園では、今週末からさくらまつりが開幕し、26日(土)には夜間開園(20時まで開園時間を延長)を実施します。

 今日の植物公園では、普段あまり紹介することのできない、温室で今開花している「1円玉より小さな花」をご紹介します。なお、掲載した写真は全て令和4年3月22日に撮影しました。

大温室の花

モンヨウショウ(クズウコン科)

モンヨウショウ Maranta leuconeura var. kerchoveana 

 モンヨウショウはブラジル原産の観葉植物。葉の模様が独特で、和名の紋様(もんよう)蕉(しょう:植物のバショウの意味)の由来となっています。カカオの周りのグラウンドカバーに使われています。

モンヨウショウの葉の模様

ピタンガ[タチバナアデク](フトモモ科)

ピタンガ Eugenia uniflora L.

 ピタンガはブラジル南部~パラグアイが原産の果樹。カボチャをミニチュアにしたような赤い小さな実が付き、沖縄で栽培されています。空中デッキの曲がり角(くだものと暮らしのコーナー)に植えられています

メキシコハナヤナギ(ミソハギ科)

メキシコハナヤナギ Cuphea hyssopifolia Kunth

 メキシコハナヤナギはメキシコ・グアテマラが原産の低木。洋風の庭のアクセントや寄せ植えなどによく用いられます。耐寒性がないため、家庭では1年草と同様に扱われますが、本来は多年生です。学名のクフェアの名前で流通しています。大温室の出口付近に植えられています。

熱帯スイレン温室(食虫植物コーナー)

ウサギゴケ(タヌキモ科)

ウサギゴケ Utricularia sandersonii Oliv.

 ウサギゴケは南アフリカ原産の食虫植物。うさぎのような可愛い花を咲かせますが、この花で虫を集めるのではなく、泥の中の地下茎に捕虫嚢(ほちゅうのう)と呼ばれる袋を作り、その中にミジンコなどの小さなプランクトンを集めて栄養にします。食虫植物コーナーでは、ウサギゴケの他にもミミカキグサのなかまが花を咲かせています。

フクシア温室

フクシア・シミフォリア(アカバナ科)

フクシア・シミフォリア Fuchsia thymifolia Kunth

フクシア・シミフォリアはメキシコ・コスタリカ原産のフクシアの原種(野生種)です。とても小さな花ですが、他のフクシアのなかまと同じく、長い筒型のきれいな花をつけています。

レパンソプシス・プルケラ(ラン科)

レパンソプシス・プルケラ Lepanthopsis pulchella Garay & Dunst.

 レパンソプシス・プルケラはベネズエラからブラジルにかけてが原産のラン科の植物です。レパンソプシスのなかまは中米に多いランのなかまで、5 ㎜にも満たない小さな花をつける種類が多く知られています。

展示温室(ゼラニウム展)

ペラルゴニウム・イオカスタム

ペラルゴニウム・イオカスタム
Pelargonium iocastum (Eckl.&Zeyh.) Steud.

 ペラルゴニウム・イオカスタムは南アフリカ原産のペラルゴニウムの原種(野生種)です。現在開催中のゼラニウム展(~4/17)では、園芸品種の他に多くの珍しい原種も展示しています。

サボテン温室

ユーフォルビア・ヘディオトイデス(トウダイグサ科)

ユーフォルビア・ヘディオトイデス 

ユーフォルビア・ヘディオトイデスの塊根

 ユーフォルビア・ヘディオトイデスはマダガスカル原産の塊根植物(コーデックス)です。株元が膨らんだ姿が独特で、最近若者の間で人気が出ています。接写した写真では、花は大きく見えますが、実際にはとても小さく、気をつけないと見逃してしまいます。

ハナキリン ”ギュヒティ”(トウダイグサ科)

ハナキリン ”ギュヒティ”  Euphorbia milii cv.

 ハナキリンはマダガスカル原産の低木で、枝に刺が密生していることから、一見するとサボテンのなかまにも見えます。和名のハナキリンは、木の葉サボテンの「モクキリン」に似ていて、花がきれいなことに因みます。花を見ると、やはりトウダイグサのなかまの花の形(杯状花序)をしており、花びらも退化しています(緑色の花びらに見える部分は苞[ほう])。

ベゴニア温室

ベゴニア・ホルトニス

ベゴニア・ホルトニス Begonia holtonis A.DC.

 ベゴニア・ホルトニスはコロンビア・エクアドル原産のベゴニアの原種(野生種)です。ベゴニアのなかまは雌雄異花同株(一つの株の中で雄花と雌花が別々の花として咲く)で、写真に写っているのは雄花です。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。今週末はあいにくの雨模様の予報ですが、雨に濡れない温室の中で、いろいろな花や実を探してみるのも一興かと思います。きっといろいろな発見ができることでしょう。お花見とあわせてのご来園をお待ちしています。