今日の植物公園:サボテン展
広島市植物公園ブログ
2021/10/14

今日の植物公園:サボテン展

  広島市植物公園の展示温室では、令和3年10月24日(日)まで、「サボテン展」を開催しています。

 この展示会では、広島カクタスクラブ会員が愛培したサボテンや多肉植物を約150点展示しています。

*サボテン:サボテン科に含まれる植物をいいます。ほとんどの種が中南米が原産地です。多くの種が乾燥地または半乾燥地に生えています。多くはありませんが、森の中に着生するものもあります。

*多肉植物:乾燥地または半乾燥地に生えている、サボテン科以外の植物の総称です。葉や茎などが多肉化し、乾燥に耐えるための構造をしています。(この部分は扱いが微妙で、乾燥地や半乾燥地産でなくても多肉化しているものも「多肉植物」とされたり、多肉化していなくても乾燥地や半乾燥地に生えているものを含むことがあります。

 

 今回のブログでは、サボテン展で展示している作品の中からいくつかご紹介します。

ロホホラ・ディフューサ
 最近日本で注目を集めているサボテン。つるつるとした灰緑色の肌に白い毛綿が特徴。子株も吹いており、日焼けすることなく大きく順調に育っており、展示会の品評会(10月10日に実施)では「広島市植物公園長賞」を受賞しました。

ガステリア ‛臥牛錦(がぎゅうにしき)’
 幅広の肉厚のダルマ葉に美しい斑模様が特徴の多肉植物(ススキノキ科)。長年の愛培によりきれいに斑が入り、風格ある株姿に育っています。
 品評会で、「広島カクタスクラブ会長賞」を受賞しました。
*美しい斑が入った株に「○○錦」という品種名がよく付けられます。

エキノカクタス ‛金鯱錦(きんしゃちにしき)’
 斑がまんべんなく入り、美しいサボテン。一般的な「金鯱(きんしゃち:エキノカクタス・グルソニイ)」と比べて生長が遅いのにもかかわらず、大きく立派に育っています。これだけ全体に斑が散っている姿は貴重です。
 品評会で「金賞」を受賞しました。

テフロカクタス・モリネンシス
 珍しいサボテン。枝ぶりがよく、丸いリング状の刺座がきれいに並んでいます。高山性なので蒸し暑さに弱く、やや作りにくいが上手に育てています。
 品評会で「銀賞」を受賞しました。

アリオカルプス ‛玉牡丹(たまぼたん)’
 生長の遅いサボテン。長年愛培して大きく育てています。良い環境(光や温度条件)下で管理していることが伝わります。
 品評会で「銅賞」を受賞しました。

 上記の品評会受賞株以外にも、見どころは多数です。

エキノカクタス ‛短刺金鯱(たんしきんしゃち)’
 前述の‛金鯱錦’と同じ金鯱種で、刺が短い個体です。

エキノカクタス ‛狂刺金鯱(きょうしきんしゃち)’
 刺が長くて曲がった金鯱の個体です。
 
 金鯱は、よく栽培されているサボテンで、実生(種子からの栽培)もよく行われています。このような苗から、違いがある個体が出ることがあります。
種子から育てている金鯱

 下の写真は、園のサボテン温室に植えている金鯱です。
サボテン温室の金鯱
 写真に写っている株は、樹齢60年を超えていると思われます。かなりの長寿です。

 その他のユニークなものを続けてご紹介します。
 まずはサボテンから

マミラリア ‛玉翁殿(ぎょくおうでん)’

ポラスキア ‛雷神閣綴化(らいじんかくてっか)’

エスポストア ‛幻楽(げんらく)’

アストロフィツム ‛群鳳玉(ぐんぽうぎょく)’


次は、サボテンではない「多肉植物」です。

ユーフォルビア ‛宇田ゼブラホリダ’
 トウダイグサ科で、サボテンではありませんが、柱サボテンの類と似た姿をしています。

パキポディウム・ラメレイ
 キョウチクトウ科です。自生地では乾季には葉が少なくなり、新たに出る葉が大きくならなくなります。逆に、雨季には葉が増えます。

アガベ3種
 アガベ(リュウゼツランの仲間:リュウゼツラン科)です。
 葉の縁に強い刺があります。

ハオルチア ‛明日香錦(あすかにしき)’
 ススキノキ科です。この株は、葉の先が半透明になっており(「窓」とよばれる)、そこから入った光が植物体内に入っていく仕組みになっています。自生地では、植物体の多くは土に埋もれ、窓部分だけを地上に出し、厳しい乾燥を防いでいます。日本など、空中湿度が高い所で栽培すると、過湿を嫌い、植物体の多くが地上部に出る傾向があります。

 今回紹介した以外にも多数の魅力的な植物が展示されています。
 10月16日(土)、17日(日)、23日(土)、24日(日)には販売があります。愛好会の会員の方が会場に居られますので、サボテン、多肉植物の質問に答えていただけます。
 ぜひお越しください。