カイツブリの抱卵[うらら池]
広島市植物公園ブログ
2021/03/24

カイツブリの抱卵[うらら池]

うらら池[隠里溜池]

 園内にはうらら池という愛称の付いたため池があり、池のほとりを散策できるようになっています。正式には「隠里溜池(かくれざとためいけ)」という名前で、広さは 6,964.37㎡あります。このため池はもともとは昭和14年の大干ばつを受けて、戦時中に作られた農業用のため池です。今日でもその面影は残されていますが、戦後の高度成長期に市街化が進むまでは、植物園の周辺(五日市観音地区)には水田が広がっており、農業用水の水源としての機能を果たしてきました。若いころにはこの池で泳いだことがあるという話を年配の方から聞いたこともあります。その後、平成13年3月に広島市がため池を取得し、現在は植物公園の一部となっています。

 さて、前置きが長くなりましたが、現在、写真中央のアカマツの株元でカイツブリが抱卵を行っています。

カイツブリの抱卵1

 カイツブリは成鳥でも全長30センチに満たない小さめの水鳥で、カモと一緒にいるとカモの子供の様にも見えます。水草を積み重ねて水面に浮巣をつくるのが特徴で、池に向かって倒れたアカマツの枝に引っ掛けるように器用に巣を作っている様子が写真からも分かります。卵を温めているようなので、対岸から望遠レンズでこっそりのぞいてみました。

カイツブリの抱卵2(交互で卵を温める)

 カイツブリは夫婦平等の鳥だそうで、卵を温めるのも夫婦が交代して行うそうです。雌雄の見た目はよく似ているので、どちらが雌かはよくわかりません。

カイツブリの抱卵(卵をくちばしでまわしている所)

 抱卵を交代したタイミングで、巣の中に卵があることが分かりました。ひなが生まれたらまたブログでお知らせします。園内ではほかにもたくさんの野鳥を観察できますが、自然の生きものは静かに見守りましょう。